遺言を残したいけれど、
「きちんと作成できているか不安・・」
と悩んで結局作成できないなんてことはありませんか?
公正証書遺言は、遺言者が公証役場に行って公証人の前で遺言内容を伝え、それに基づいて公証人が遺言者の意思を正確に文章にまとめ作成します。
自筆証書遺言と違って一人で作成することができず、費用と日数も要しますが、公正証書遺言は公証役場で厳重に管理されます。
そのため、最も安全かつ確実な遺言書の作成方法ともいえるかと思います。
この記事では公正証書遺言の作成の流れや作成にかかる費用などを解説します。
遺言書作成のルール
遺言のルールを制す者は遺言書を制す!
公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 証人二人以上の立会いがあること。
二 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
三 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
四 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
五 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。
難しそうですね・・
分かりやすく解説していきます

公正証書遺言作成の流れ
遺言の内容を決める。
「誰に何を受け取ってもらうのか」、「どのようなお葬式にしたいのか」など
具体的な内容をしっかりと決めておきます。
公証役場に連絡し、公証人との打ち合わせの日時を予約する。
公証役場は全国に約300か所あるので、お近くの公証役場に連絡できます。
日本公証人連合会HP 公証役場一覧
必要となる資料を準備する。
予約の当日、必要書類をそろえて公証役場に行く。
遺言内容について公証人と打ち合わせをして公正証書作成の日時を決めます。
作成の当日は、遺言者本人と証人2名で公証役場に行き、公正証書遺言を作成する。
遺言者本人が証人2名の立会いのもと公証人に遺言の内容を伝える。
あらかじめ用意しておいた公正証書遺言の内容を確認します。
間違いがなければ遺言者本人と証人2人、公証人がそれぞれ署名と捺印します。
公正証書遺言の原本(最初に作ったもの)は公正証書役場で厳重に管理される。
謄本(原本の写し)と正本(法的な効力のある原本の写し)は遺言者に渡されます。
公正証書作成の手数料を支払う。
以上で手続きは完了となります。
口では伝えられない方は自書が可能であれば、公証人の前で筆談により公正証書遺言ができます。
手が不自由で自書ができない方は通訳を通じて公証人に伝えることができます。
耳の聞こえない方は、読み聞かせの確認に代えて通訳人の通訳や閲覧により確認できます。
証人って誰でもなれるんですか?
法律専門職(弁護士や行政書士)や信頼できる知人、公証人から手配された証人(1人あたり1万円の手数料アリ)などです
証人にはなれないひと
①相続人・受遺者
②相続人・受遺者の夫や妻
③未成年
④相続人・受遺者の直系血族
(両親・祖父母・子ども・孫)
⑤公証人の夫や妻や親族
⑥公証人の書記
相続人は証人になれないんですね!
公証人とはどんな人なんですか?
委託を受けて公証役場で公正証書の作成、私署証書や会社の定款の認証などをする人です
原則、法律の実務経験が豊富な者を法務大臣が任命するとされています
では、準備するものと手数料をまとめているので確認してみましょう!
準備するものと手数料
準備するもの
必要なものを準備しましょう
□遺言者の身分証明書
印鑑証明書又は自動車運転免許証・パスポート・マイナンバーカードなど顔写真入りの証明書
□遺言者と相続人の関係(続柄)が分かるもの
戸籍謄本
□遺言者の氏名・生年月日・住所・職業を正確に書いたメモ
□証人2名の氏名・生年月日・住所・職業を正確に書いたメモ
免許所の写しなど最適
□遺言で遺贈する(相続人以外の人に財産を渡す)場合は?
相手方の住民票
法人に遺贈する場合は、その法人の登記簿謄本
□不動産を相続または遺言で遺贈する場合は?
◎土地・建物の登記簿謄本
◎固定資産評価証明書又は固定資産税の納税通知書
不動産以外の場合はそれらの金額などを記載したメモなど(通帳なども可)
□その他、公証人から必要といわれたもの
公正証書作成の手数料
遺言の目的となる財産の価額に応じて手数料が定められています

(参考:日本公証人連合会 Q.法律行為に関する証書作成の基本手数料)
手数料の求め方
ステップ1
財産の相続または遺贈(相続人以外に財産を渡す)を受ける人ごとに財産の価額を計算します。
ステップ2
計算した価額を上の表の手数料にあてはめます。
ステップ3
最後にすべて人の手数料を合わせて遺言全体の手数料を計算します。
妻の手数料が4万3000円、長男が4万3000円となり、合計額は8万6000円となります。
※遺言加算について
全体の財産が1億円以下の場合は計算した手数料に1万1000円がプラスされます。(遺言加算という)
総額1億円の財産を妻に7000万円、長男に3000万円相続させる場合の手数料は?
妻が4万3000円、長男が2万9000円となり全体の財産が1億円以下のため、1万1000円がプラスされて手数料の合計額は8万3000円となります。
必要書類の手数料
- 印鑑登録証明書
一通300円 →身分証明書として使用する場合 - 戸籍謄本
一通450円 - 住民票
一通300円→相続人以外に遺贈する(相続人以外の人に財産を譲る)場合は相手方の住民票 - 登記簿謄本など
一通600円 →相続の財産に不動産が含まれる場合や法人に遺贈する(相続人以外の人に財産を譲る)場合 - 固定資産評価証明書
一通300円~400円→相続財産に不動産が含まれる場合や受け取る側が法人の場合


まとめ
最後にもう一度内容を確認しましょう!
今回は、公正証書遺言の作成について解説しました。
公正証書遺言は用意すべきものがたくさんありますので事前にチェックリストを作成しておくことをおすすめします。

内容はあらかじめしっかり決めていこう
予告:コピー用チェックリスト載せようか検討中です・・
最後までお付き合いありがとうございました